進撃の巨人の魅力を語る上で欠かせないのはその骨太な物語の展開を支える緻密に練られた伏線ではないでしょうか。
多くの伏線が次々に回収されていく物語の頂点には長年応援してきたファンであるほど興奮したと思います。
今回は作中で登場した伏線の中でも特に印象的だったものについて解説したいと思います。
※当記事はネタバレを含みますのでご注意ください。
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二千年後の君へ
漫画版・アニメ版ともに第一話のタイトルになっている
漫画版の第122話でついにその解答にあたる
というタイトルの話が掲載されました。
そこではユミル・フリッツの過去が詳しく語られる話でユミルは
の中で二千年もの間誰かが解放してくれるのを待ち続けていました。
最後はエレンに
終わらせるのか」
を聞かれ結果的に自らの解放に繋がる選択をします。
この「二千」という数字は始祖・ユミルが始祖の巨人を手に入れ最後の始祖の巨人の継承者となるエレンが寿命を迎えるまでの年数と一致しておりそれは同時に
ということでもありました。
また単行本最終刊で新しく追加された話では始祖・ユミルが長い間待ち続けたのはミカサであることも判明し
がエレンではなくミカサあるいはその両方であるという解釈もできます。
845という数字
進撃の巨人の中には重要な数字がいくつかあります。
例えば代表的な「13」という数字は至るところに散りばめられており有名な例として
の継承者の寿命が13年になるという始祖・ユミルの呪いがあります。
この13という数字が初めて登場したのは漫画版第1話の13ページです。
漫画や小説にはページ番号を示すノンブルと呼ばれる表記があります。
本来これは製本する時などに使用される番号ですが進撃の巨人の単行本内で使われたノンブルはこの1話
の13ページのみとなっており普通に読んでいても明らかに違和感をを感じるものでした。
作者が意図的に印象づけた数字であることは間違いなくそれ以降
・エルヴィンが調査兵団の13代団長
・始祖ユミルの回想でユミルを指さす手が13本
と様々な場所で「13」という数字が使われていました。
また
のエレンが涙目で振り向く場面で年数を示す「845」という数字が描かれています。
845も13の倍数でありこれら二つを並べた数字
を元に138話45ページを見てみるとミカサがエレンに
と伝える場面になっておりこの場面が1は13ページの内容に繋がっているという伏線になっていました。
進撃の巨人の力
物語が進んでいくとエレンの体内にある進撃の巨人が未来の継承者の記憶を覗き見る能力を持っていることが判明します。
エレンの父であるグリシャ・イェーガーはその力を使って未来の継承者であるエレンの記憶を覗き見ていました。
これは第一話に登場するとある場面が伏線になっています。
グリシャが首にかけた鍵を見せながら
とエレンに言います。
漫画版だとこの場面は1巻・3巻・21巻と複数回登場しており地下室にある真実と同様この場面自体に意味があるように印象づけがされていました。
この時のグリシャはエレンに話しかけているのにもかかわらず視点が部屋の端へ向いています。
実はこの時のグリシャは進撃の巨人の未来視によって進撃の巨人を継承した未来のエレンの顔を見ています。
この進撃の巨人の力は物語後半のエレンの行動全てに作用しておりマーレ編以降まるで性格が変わってしまったかのように仲間たちと対立したり読者にとって不可解だったエレンの行動の動機や行動理念を解説する役割を持った伏線回収でもありました。
いってらっしゃいエレン
1話でエレンはミカサに似た女性に
と声をかけられる夢を見ます。
目覚めたエレンは涙を流しており目の前にいたミカサに
と指摘しています。
この伏線は34巻138話で回収されました。
この話は本編とは違う世界線の物語でエレンは
を決行せずミカサとともに余生を過ごし寿命を全うするという最期を迎えその時にミカサがエレンに対し
を伝えています。
状況から考えれば寿命を全うしようとしているエレンに対し
と最後の言葉を告げているようにも見えます。
もし138話から1話の子供時代にエレンがループしているのだとしたらこの言葉は死者への別れの挨拶ではなく1話の少年時代へ
と言っているという別の意味に捉えることもできます。
自分の最期を見て涙を流す場面から作品が始まってると思うと胸が熱くなりますよね。
またミカサが
と言っている世界は完全に別世界線の物語であり本編と物語上の連続性はないというパラレルワールド説もあったりとこの場面については完結した後も日々新しい考察が出てきています。
ミカサの頭痛の真実
ミカサは連載初期からたびたび頭痛に見舞われている描写がありました。
ニコロのレストランにエレンがミカサの頭痛について語る場面があります。
これに関しては連載当時の読者もエレンが何らかの策略を講じており真実を語っていないという考察が大きな意見でした。
そんなミカサの頭痛に関しては物語完結後も謎のままになっていましたが単行本34巻に追加ページが差し込まれついに伏線が回収されることになります。
単行本で追加された話で幻の中で始祖・ユミルと出会ったミカサが
ずっと私の中を覗いていたのは…」
という場面があります。
ミカサの頭痛の正体は始祖・ユミルがミカサの頭の中を覗いていたことが原因だったのです。
これは最終話でエレンとアルミンが
の中で会話する場面からその理由が分かります。
エレンは始祖の巨人を掌握したことで始祖・ユミルの本当の気持ちを知ります。
それは始祖・ユミルがフリッツ王にひどい扱いを受けながらも彼のことを本当に愛していたということでした。
二千年もの間、巨人を作り続けた始祖・ユミルを縛っていたのはフリッツ王への愛そのものでありこの呪縛はとうとう自分の力で断ち切ることができませんでした。
そこで始祖・ユミルは愛の奴隷
「本来は争いが嫌いである」
など似た境遇を持ったミカサと自分を重ねミカサに愛するエレンを殺させることで愛の苦しみから解放してもらおうと考えたのでしょう。
始祖・ユミルがミカサの頭を覗いていたのはミカサが愛についてどんな考えを持っているかミカサから見るエレンという存在をよく観察し自分の気持ちを投影するためだったのです。
改めてミカサの頭痛場面を見てみるといずれも愛情に深く関わる場面もっと言えば
だったのが分かります。
例えばエレンが女型の巨人に喰われた時や瀕死のアルミンを見たときなどが代表的なものでこれは始祖・ユミルがミカサにとっての愛の部分を見ていたのではないでしょう。
カルラの死の真相
エレンはシガンシナ区で母親のカルラを巨人に喰われたことで世界から全ての巨人を駆逐する決意をします。
後にカルライーターやダイナ巨人などと呼ばれるこの巨人の正体は父親グリシャの前妻でありジークの母親のダイナでした。
クリッツ王の血を引く王家の人間でありその息子であるジークも同様に王家の血を受け継ぐす存在だということが後に発覚します。
ライナ巨人はエレンがライナー達に攫われた際に再登場し最終的にはエレンと触れたことで始祖の巨人の能力を発動させることになります。
始祖の巨人の力は王家の者が触れることで真の力を発揮しエレンが一時的に始祖の巨人の力を掌握する手助けをしたことになりました。
この結果ダイナ巨人はエレンに始祖の力で操作された無垢の巨人に捕食されてしまいます。
そんなダイナ巨人ですが無垢の巨人に捕食された以降も二つの謎が残されていました。
一つはなぜ彼らを捕食したのかということです。
ダイナ巨人はグリシャの前妻でありエレンの母・カルラを捕食したのが偶然と考えるのには少し疑問が残ります。
巨人になる直前ダイナはグリシャに対し
あなたを探し出すから」
という言葉をかけていますがこの伏線の回答にしてはやや疑問が残る部分がありました。
もう一つはなぜベルトルトを捕食せず彼を無視して壁内に入ったのかということです。
ベルトルトがライナー・アニらとパラディ島の壁内に進入する際、超大型巨人になって壁を蹴り破って中に巨人たちを誘導しました。
この時変身を解き無防備になってしまったベルトルトは壁外に侵入するダイナと対峙しています。
しかしこの時ダイナ巨人はなぜかベルトルトを無視しておりこれは一般的な巨人の行動理念から逸脱した行動です。
この2つの伏線は最終139話で回収されました。
ダイナ巨人はあの日、実はエレンによって操られていたのです。
その目的は二つあり
・もう一つはカルラを捕食させることで幼少期のエレンが巨人に対して深い恨みを持つように仕向けるため
でした。
物語の始まりでもある母・カルラの死がエレン本人によって演出されたものであったということは驚愕でしたよね。
またこの事実によって作中に登場したほかの奇行種についても考察することできます。
それはすべての奇行種が実はエレンに操作されていたのではという説です。
これまで登場した奇行種はいずれも物語に何かしら大きな影響をもたらす行動を取っています。
例えば第1巻でエレンの同期であったトーマスを食べた奇行種です。
この奇行種は壁内に侵入してきた巨人の中でエレンたちが最前線で最も早く接触した巨人でした。
トーマスを巨人に喰われたエレンは激昂し立ち向かいますが結果として片足を失い最終的にはアルミンを助けるため巨人に喰われます。
この結果エレンは初めて巨人化することになったのでこの奇行種は間接的にエレンの最初の巨人化を手助けする役割があったのではないでしょう。
かつまり未来が特定の結果に辿り着くようにエレンが巨人を操作した結果が奇行種でありダイナ巨人が操作されていたと言う事実はこれを裏付ける証拠とも入れます。
完結した今、この答えが分からないのは残念ですがエレンが目的のためとはいえダイナ巨人や奇行種を使って仲間や罪のない人を殺す選択をし続けたのであればそれは相当辛い決断だったのではないでしょう。
世界を救うのはアルミン
ウォール・マリア奪還作戦にてアルミンは超大型巨人に対抗する決死の策を決行しますが代償として瀕死の重傷を負いました。
そこでエレンたちは薬を使って巨人化させたアルミンにベルトルトを捕食させ超大型巨人を継承することで回復させようと試みます。
しかしエルヴィンもアルミン同様に瀕死の重傷を負っていることが分かりエレンやリヴァイはどちらを生かすのか命の選択を迫られてしまいます。
エレンとリヴァイが口論になりその時エレンは
と発します。
これはアルミンを救うためにエレンが咄嗟に発した言葉ですが実はこの言葉自体が最終話の伏線にもなっていました。
34巻139話でエレンは始祖の力を使い過去のアルミンと対話します。
その中でエレンは自身が「地ならし」を決行した本当の理由はミカサやアルミンを人類を救った英雄に仕立て上げるためだと告白するのです。
そしてアルミンと最後に会話する場面でもう一度
と言って去っていきます。
この伏線は最後の最後でアルミンが
と人類に発信したことで回収されます。
エレンを倒したのはミカサであるものの何度もエレンが訴えかけた通りアルミンは表舞台上の人類を救った救世主となりました。
まとめ
この記事で紹介した伏線の他にも進撃の巨人には物語を魅力的に演出する素晴らしい伏線がたくさん散りばめられています。
ダイナ巨人の伏線が衝撃的すぎいた!
「進撃の巨人」最高!
と思った人はまた次の記事でお会いしましょう。
今回は以上です。
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